大英図書館での資料閲覧の手順

2019年時点での大英図書館(The British Library)で「閲覧登録(Reader Registration,直訳すると読者登録/リーダー登録)」をして資料を閲覧する方法を記します。といっても網羅的なものではなく,あくまでも私個人の経験に基づく備忘録です。

なお,閲覧登録は英国に居住していなくても問題なくすることができます。

入館前の準備

  • ウェブサイトでの登録大英図書館のウェブサイトの案内に従い,氏名や住所など必要事項を入力します(事前登録)。引き続いて,オンライン目録を利用するためのアカウントを作成します(オンラインアカウントの作成)。手続きが終了するとそれぞれ「18…から始まる7桁の番号(後で登録番号になります)」と「オンライン目録のアカウントとパスワード」が発行され,メールで通知されます。ウェブ上での事前の登録は必須ではなく現地ですべての手続きをすることも可能ですが,済ませておくと便利です。
  • 必要書類の入手:「氏名と署名が記されている書類」と「氏名と住所が記載されている書類」の2点が必要です。外国人の場合は,前者はパスポートやクレジットカード,後者は国際運転免許証や英文の銀行残高証明書,住所が示された領収書などが該当するようですが,住所が書かれた英文の公的書類は日本人にとってはかなり限定されるのではないかと思います(詳しくはこちら)。私の場合は,念のため最も信頼度が高いと思われる国際運転免許証を使用しました。国際運転免許証は各都道府県の免許センターで有料にて即日発行することができます。
  • 利用資料の特定:事前登録はあくまでも仮登録に過ぎませんが,すでにオンライン目録からの資料の利用申し込みをすることができます。訪問当日の朝に利用資料を特定し,閲覧の予約を行いました。「閲覧室(Room)」の指定が求められますが,基本的には選択できる閲覧室であればどこでもよいようです。私はすべての資料で選択可能になっていた「Rare Books & Music」室にまとめることにしました。それぞれの資料が「70分以内に到着」と表示され,利用申し込みは完了しました。

 

入館後(1)—登録と閲覧証の入手—

  • 入館:観光客も含めて全員が入り口で手荷物検査を受けます。大型のキャリーケースなどは持ち込めないようです。正面に案内所,右手に書店,左手に土産物店,そして左手奥には常設展と特別展への通路がありますがそれらは無視し,案内に従って上階の「閲覧登録(Reader Registration)」室へ向かいます。
  • 登録室への入室:受付で仮登録の際に決まった「18…から始まる7桁の番号」を伝え,必要書類を提示します。同時に居所が英国内か否か尋ねられるので,外国であると答えます。受付の指示に従って,向かって左手のパソコンで「4. 新規登録」を選択して7桁の番号を入力し,事前登録した個人情報が正しいか確認し,そして規約に同意します。パソコンでの確認が終了すると4桁の呼び出し番号が画面に表示されるので,番号が奥の係員に呼ばれるのを待ちます。
  • 閲覧証の入手:係員に再び必要書類を提示します。書類に問題がなければその場で顔写真の撮影をし,カード型の「閲覧証(Reader Pass)」が発行されます。カードを印刷している間に規約と案内・注意事項が書かれた紙が手渡され,説明を受けます。案内と注意事項は一般的なものですが,閲覧室に入室する際に飲食物が一切持ち込み禁止であること,カメラが持ち込み可であること,コートの着用が許可されていないこと,筆記具は鉛筆に限ることなどが日本の国会図書館とは異なる点でしょうか。カードの裏面に署名をすれば無事に閲覧証の発行が完了です。私が訪問したのは土曜日の午前ですが,登録室は閑散としておりスムーズに(5〜10分程度で)手続きを終えることができました。

 

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入館後(2)—資料の請求と利用—

  • 手荷物の預け入れ:クロークまたはロッカーに持ち込み禁止物やコートなどを預けます。貴重品は携行するように求められます。透明なポリ袋を持っている来館者を多く見かけましたが,どこかで配っているのかもしれません。
  • 閲覧室への入室:入り口で閲覧証を示して事前に指定した閲覧室へ入室します(これ以降の記述は,私が利用した「Rare Books & Music」室についてのものです)。閲覧室のすぐ外は誰でも立ち入ることができるエリアなので不思議な感じがします。まずは自分の座席を確保し,正面に示されている番号を確認します。どの閲覧席にも机上には注意事項が書かれた紙が置かれ,電源が備えられています。数えたわけではありませんが,およそ半分以上はすでに先客で占められていました。

 

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  • 資料の受け取り(一般の資料の場合):閲覧請求した資料の到着もオンライン目録から確認できます。受け取りカウンターに並び閲覧証を示して冊数を伝えると,到着した資料を受け取ることができます。このとき,必ず座席番号を尋ねられるので答えます。冊数が多い場合はワゴンで受け取りワゴンはすぐに返却します。概ね国会図書館と変わらない手順です。
  • 資料の受け取り(特別な資料の場合):特別な資料(Special Material,貴重資料)の場合は,閲覧証と引き換えに資料が渡されます。一般の資料と異なるのは,閲覧場所が限られることです。私はこのことを知らなかったため,受け取りの際に特別な資料が閲覧可能な座席が記された赤いカードを渡され,移動するように促されました。事前に専用席を確保する必要があるようです。座席番号を伝えて資料を受け取る点は一般の資料と同様です。一般の資料と特別な資料の区別は,私がオンライン目録をみた限りではつきませんでした。請求記号から判断できるのでしょうか。より貴重な資料については紹介状等が必要で,そもそもワンクリックでは利用申し込みができないようになっています。
  • 資料の撮影:一般の資料は,持ち込んだタブレットやカメラ等で自由に写真撮影ができます(フラッシュ撮影,シャッター音のする電子機器での撮影は禁止です)。許可は必要ありません。これは日本の図書館と最も大きく異なる点です。また室内にはスキャナ等も設置されています。コピーサービスについては利用していないためよくわかりません。
  • 資料の返却と退室:カウンターに資料を返却します。(一時的に退室するなどの理由で)取り置きするのか,あるいは閲読が完了したのかを尋ねられるので答えます。私が返却した際には,特別な資料と引き換えに預けた閲覧証の返戻を忘れられていたのでそのように伝えました。退室の際に身体検査が行われることが掲示されていますが,ごく簡単なものです。

 

おまけ

  • 飲食店:館内にはカフェがあり軽食や飲み物を購入できます。館内の閲覧室の外では,飲食をしている利用者の姿を多く見かけます。またキングスクロス・セントパンクラス駅に近い恵まれた立地のため,近隣にも多数のレストランやファーストフード店があります。コンビニエンスストアやスーパーマーケットはあまり多くない印象を受けました。
  • 土産物店:オリジナルグッズも多数販売しています。鉛筆や鉛筆削りを忘れた場合はこちらで購入できます。
  • 館内展示:常設展のみ見学しました。入場は無料です。有名な観光スポットとあって,多くの観光客で賑わっていました。

 

おわりに

資料の入手方法は,師から弟へ,あるいは先輩から後輩へと経験的に受け継がれていくもので公共の施設の資料についてもまた然り,と考える向きもあるようです。とはいえ,個人で外国の施設を訪ねる場合は(基本的には日本と共通する点がほとんどですが)現地語に通じていないと戸惑う局面もあるのではないでしょうか。じっさい私も疑問点が多くあり,解決のために公式情報だけでなく日本語で書かれた書籍やウェブサイトを大いに参考にしました。

翻って日本の図書館について考えると,公共図書館のウェブサイトにおける外国語の利用案内は充実しているとはいえない現状があります。とくに国会図書館や国立公文書館がより詳細な利用案内を整備することは,外国人だけではなく日本人利用者の利益にもなるのではないかと感じます。

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